更新:2025年4月24日
ホテルの部屋の空調
ホテルのセントラル空調では、各客室の吹出口に設置されたファンコイルユニットには、
熱伝導効率を高めるために銅管が使用されています。
一方、冷温水を循環させる主管や横引き配管には、亜鉛メッキ鋼管が採用されており、
時間の経過とともに赤錆が発生します。
10年以上経過すると、次第にファンコイルユニットの銅管内面に赤錆が付着・蓄積し、赤錆層を形成します。
赤錆の熱伝導率は銅のおよそ1/160と非常に低いため、冷房や暖房の効きが著しく低下します。
その結果、冷水の温度をさらに下げたり、温水の温度を上げたり、あるいはポンプの送水量を増加させる必要が生じ、
知らず知らずのうちにエネルギー消費量が増大していきます。
この赤錆層は、NMRパイプテクターの設置により熱伝導効率を、赤錆の約16倍ある黒錆層に転換するので、
冷水や温水がより効率的に熱を伝えられるようになります。
その結果、空調の効きが改善され、必要以上に冷水・温水の温度を調整する必要がなくなり、
ポンプの負荷も軽減されるため、空調にかかるエネルギーコストを10%以上削減することが可能になります。
さらに、熱源装置である冷温水発生機内の赤錆も黒錆に転換されることで、熱伝導効率が向上し、
通常20年で交換される装置の寿命が約50%延命されるなど、設備更新コストの大幅な削減にもつながります。
「NMRパイプテクター」
赤錆を体積1/10の黒錆に還元する装置
建物概要 | 所在地 | 東京都中央区八重洲口 |
---|---|---|
築年数 | 約60年(2025年現在)ビル | |
空調冷温水配管 | 亜鉛メッキ鋼管 使用 |
当建物では、空調配管内の赤錆による熱伝導効率の低下と設備劣化を防止するため、2015年7月に「NMRパイプテクター」を設置しました。
設置前は、各客室のファンコイルユニット内部に断熱性の高い赤錆層が形成されており、冷暖房の効きが悪化していました。
しかし、設置からわずか1週間後には、水中の鉄分濃度が1/100以下にまで低下。
これにより、ファンコイル内部の赤錆が少しずつ、熱伝導率が約16倍で、層の厚みが約1/10の黒錆へと転換された事を立証しました。
また、ファンコイルの熱伝導効率は約160倍に改善。空調性能が大幅に向上し、同時に冷温水の必要供給量も減少し、
実際の数値としては、NMRパイプテクター設置の1年後にはエネルギーコストが5%削減され、2年後には12%の削減を達成しました。
この結果は、冷温水発生機および空調用冷温水ポンプの負荷が軽減されたことによるものであり、
ファンコイルの熱伝導性能向上が直接的な効果をもたらしたことが確認されました。
設置前 | 設置1週間後 | |
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空調循環水中の 赤錆による鉄分値(mg/l) |
![]() 11mg/l |
![]() 0.1未満mg/l |
※水質基準値:1.0mg/ℓ(一般社団法人 日本冷凍空調学会)