更新:2020年4月30日
イギリスにある世界でも最大級の博物館、大英博物館は800万点以上の美術品や歴史的価値の高い文化財を有します。 博物館としての価値はもちろんのこと、ロンドンを代表する観光地でもあり、高い評価、人気を博しています。 年間入場者数は640万人を超えるなど多くの人を魅了している大英博物館ですが、展示物等の保護の為にある問題に直面していました。 大英博物館はこれまでに複数回建物の改修は行っているものの、築年数は264年以上を経ている建物です。 今後も存続していく必要のある重要な博物館ですが、建物の老朽化の問題は避けられません。 その問題の1つが暖房用温水配管の老朽化による漏水の不安でした。
NMRパイプテクター®が導入された
「大英博物館」
漏水した配管イメージ
博物館にとって漏水は大問題です。 暖房用温水配管は普段目に見えない所にある為、漏水が起こるまでその異常に気づかないリスクが高く、 配管内からの赤錆劣化による漏水はどこからその問題が発生するのかも分かりません。 そして博物館の一番の問題は美術品等の被害です。 大英博物館は非常に価値の高い美術品等を多く所有する為、その被害は金額で表せるものではありません。 また管理状態の瑕疵があれば、保有する美術品等をその後も保有する事に疑義が問われ手放す必要が発生する可能性もあります。
温水配管の漏水を防ぐ方法はいくつかあります。
一般的で確実なのは配管更新工事となり、老朽化した配管を新品に取り替える事です。
しかし、面積56,600㎡を超える大英博物館の配管更新工事には、長期の時間を要し、その間断水も必要です。
当然コストも膨大な為、現実的ではありません。
そしてその配管も再度老朽化が進めばまた同じ問題が浮上してくる為、その場しのぎでの対策となってしまいます。
2つ目の方法は、水をろ過するフィルターを配管に取付ける事で、水中の酸素を取り除き、赤錆の発生を遅らせる方法です。
この方法はすでに配管内に発生している赤錆には全く効果がない為、薬品の投与によって赤錆を取り除かなければなりません。
また薬品の使用は美術品等に影響を及ぼす懸念があり博物館では採用できません。
3つ目の方法として配管内の赤錆防止装置NMRパイプテクター®を使用して配管劣化を防ぐ方法です。
NMRパイプテクター®は水の持つ自由電子の働きを利用し、配管劣化の原因である赤錆を黒錆に還元するというものです。
黒錆に還元する事のメリットは、黒錆は不働態とよばれているもので黒錆被膜を形成する事で、発生する赤錆を防ぐ事が出来るものです。
その為、黒錆は南部鉄瓶や蝶番に防錆コーティングとして使用されています。
黒錆は固い結晶の不動態である為、一度黒錆化されると配管の強度を向上させる事になります。
また黒錆は赤錆の体積の1/10である為、赤錆による配管内閉塞を縮小改善させる事ができます。
大英博物館は貴重な美術品を数多く所有
NMRパイプテクター®設置箇所その1
配管更新工事、フィルター取付けによる水中の酸素除去は大英博物館ではリスクのある方法である事が分かりました。 それに対し、NMRパイプテクター®の設置工事は給水配管や空調配管の外側に取り付ける装置となり、その作業時間も1~2時間で完了し、 断水も必要がありません。また直接装置が水に触れる事もない為、安全性も高く設置後のランニングコストも不要です。 もちろん美術品等への影響もありません。NMRパイプテクター®の防錆効果は40年以上持続しますので長期的な配管延命が可能になります。 そして設置コストは空調配管の場合、配管更新工事と比べ20分の1以下で抑える事ができます。
NMRパイプテクター®が本当に大英博物館にとって適した配管老朽化防止対策であるか検証をしました。 2016年3月、空調温水配管に1台のNMRパイプテクター®を設置し、設置前と設置後に循環している同じ温水の鉄分値検査を行いました。 イギリスのケンブリッジにある水道局に依頼した水質検査結果では、設置前の水は鉄分値20.0㎎/ℓと、大変赤錆が進行している事が分かりました。 設置三週間後では3.44㎎/ℓ、設置五週間後では0.2㎎/ℓと赤錆による鉄分値は飲料水規定値0.2㎎/ℓと同じになり、赤錆防止効果が立証されました。 このNMRパイプテクター®の赤錆防止・配管延命効果が大英博物館にも認められ、正式にNMRパイプテクター®の採用は決定されました。
NMRパイプテクター®設置箇所その2
「大英博物館」館内
実は今回のNMRパイプテクター®を採用いただいた2年後の2018年3月、継続して赤錆の防錆効果を得られている事から、 大英博物館館内の別系統の配管へ1台NMRパイプテクター®が追加導入されました。 これは配管防錆効果への信頼を得られている事のあらわれであり、大英博物館館にある重要文化財の保護を、 間接的にでも担えている事は非常に喜ばしいことです。