更新:2020年8月12日
水道(給水)管からの赤水は配管内の赤サビにより蛇口から出る水が赤茶に濁る現象ですが、ある程度水を流し続ければ気にならない程度の色に戻る事もあります。
しかし赤サビによる配管内の腐食が著しい場合、いくら流し続けても赤水が止まらず、透明できれいな水に慣れ親しんだ私たちは、飲用はもちろんのこと風呂やシャワーなどでも利用をためらってしまう事でしょう。
ベトナムのホテル、レジェンドホテルサイゴン(現ロッテホテルサイゴン)では建築6年後にひどい赤水が給水で発生し、長時間水を流すも一向に赤水が解消される気配もなく、宿泊客はシャワーすら浴びられないという状況が起きてしまいました。
配管内の赤サビにより宿泊客がシャワーを浴びられなかった
レジェンドホテルサイゴンがあるベトナムのホーチミン
給水管の赤水の問題に直面したレジェンドホテルサイゴンは、日本の企業であるコンフェクショナリーコトブキが大成建設株式会社に依頼して建築し2001年に開業しました。
コンフェクショナリーコトブキの名はご存知ない方もいらっしゃるでしょうが、「お菓子のコトブキ」なら中高年の方には懐かしく響くではないでしょうか。
神戸市に本社を置く洋菓子メーカーで、鮮やかなピンクと白のツートンカラーの店構えは全国各地でみられました。
コンフェクショナリーコトブキは、1947年にお汁粉屋「寿本舗」として開業しました。
創業者の細谷清氏は、戦後の物資が不足し甘味が少ないなかでお汁粉や酒まんじゅう、大福などを販売して成功し、徐々に事業の規模を大きくしてゆきます。
1968年にフランチャイズ制度を導入すると1971年には社名を「お菓子のコトブキ」に変更(コンフェクショナリーコトブキへの変更は1982年)、「お菓子のコトブキ」の名は全国へと拡大し、レストラン事業なども展開しました。
残念ながら現在は直営事業を休業していますが、神戸の洋菓子メーカーが何故ホテル経営に乗り出したのでしょうか。 そのきっかけは、細谷清氏の早世したご長男の遺言だといいます。 細谷氏がホテル事業に乗り出したのは、87歳の時でした。 戦後の混乱期から堅実な経営で神戸でもトップクラスの菓子メーカーへと成長させた細谷氏にとって、ホテル事業はその集大成であると同時にご長男への想いが詰まった特別なものであったに違いありません。
「お菓子のコトブキ」で知られるコンフェクショナリーコトブキが最初に着手したホテルはベトナムのレジェンドホテルサイゴン(現ロッテホテルサイゴン)です。
ホーチミン市のサイゴン川に面し、17階建てで客室数283、6つのレストランに円形の大きな屋外プールなど、ベトナムでも最大かつ最高級クラスの宿泊施設として2001年10月にオープンしました。
2013年に韓国ロッテグループが買収しますが、人気観光スポットのサイゴン・オペラハウスやグエンフン通りが近くにあり、スパをはじめとした充実の館内施設、行き届いた掃除、日本語対応スタッフの常駐など、現在も人気や評価の高さはベトナムトップクラスを誇っています。
そんなレジェンドホテルサイゴンで給水管の赤水問題が発覚したのは、ホテルオープンから間もない2007年のことでした。
2007年のある日、日本の有名芸能人がボランティア活動のためにベトナムを訪問し、その拠点としてレジェンドホテルサイゴン(現ロッテホテルサイゴン)に3日間宿泊しました。
その際、バスタブに湯を溜めたところ赤茶に濁っており、何時間もシャワーを流し続けても赤水が止まらないという事態が起きてしまいました。
結果として、宿泊した3日間はシャワーすら浴びることができませんでした。
当時、レジェンドホテルサイゴンは開業からわずか6年しかたっておらず、報告を受けた創業者の細谷氏は激怒したといいます。
特別な思い入れのあった事業の、しかも最初に手掛けたホテルでの出来事でしたので、相当なショックを受けたことでしょう。
建築を請け負った大成建設株式会社に対して給水配管と給湯配管の全面更新、そして休業補償を要求しました。
このような事態が起きてしまった背景には、ベトナムならではの水事情があります。 ベトナムの水は硫酸成分を多く含むため、亜鉛メッキ鋼管(SGP)に反応して赤サビが非常に発生しやすい状況だったのです。
細谷氏の要請通りに配管の更新工事を行った場合、新たな配管や工事にかかる費用は10億円以上と高額で、工事の際には断水も必須です。 当然ながらホテルの通常営業は無理なため、更新期間中は営業も中止しなければなりません。 高額な費用と営業中止に伴う損失の大きさに、当時の大成建設株式会社・国際部責任者の方は配管更新以外の解決策を検討するなかで日本システム企画株式会社のNMRパイプテクター®を採用いただきました。 大成建設株式会社からの注文で、2008年にNMRパイプテクター®をレジェンドホテルサイゴンに設置することになりました。
配管内赤サビのイメージ
配管内の赤錆防止装置「NMRパイプテクター®」
レジェンドホテルサイゴン(現ロッテホテルサイゴン)でも真っ先に配管の更新を検討したように、赤水は配管を新たなものに取り換えることで対処するのが一般的です。 しかし配管を更新しても、ベトナムのような特殊な水質の場合は、数年後に再び配管内に赤サビが発生します。 薬品を使う方法もありますが、一時的な効果しかなく、継続的に投与しなければなりません。 どちらの方法も根本的な解決ではなく定期的に高額な費用が必要になります。
NMRパイプテクター®の赤錆防止機能は、これら従来の方法とはまったく異なります。 発生してしまった配管内の赤サビを除去するのではなく赤サビを水に溶けない不動態の黒サビへと変換することで配管内の腐食を止め、さらに配管を強化して長期延命します。
NMRパイプテクター®は配管外部からの設置のために断水工事を必要としません。 導入時にかかる費用を大幅に削減でき、消費する部品や薬剤などもないためランニングコストの心配も無用です。 NMRパイプテクター®の防錆効果は、日常的な水の使用量(約1蛇口あたり200L~300L/日)であればおよそ40年にも及びます。 優れた防錆効果・低コスト・導入時の利便性など、レジェンドホテルサイゴンにとってNMRパイプテクター®はベストな選択肢だった訳です。
レジェンドホテルサイゴン(現ロッテホテルサイゴン)では、赤錆防止装置NMRパイプテクター®を、2008年に導入・設置しました。
当時、すべての客室の洗面台、バスタブ、トイレの水道(給水)管から濃い赤水が出ており、30分ほど水を流し続けても赤色の水質はほとんど変わらない状態でした。
非常に濃い赤水だったことを踏まえ、NMRパイプテクター®の防錆効果を効率よく最大限発揮させるために、清掃時に客室の水道を20分間ほど流すことを毎日実施することになりました。
それから約一か月半後に14~17階の客室すべての洗面台・風呂・トイレで給水管の水質チェックを実施し、経過観察を行いました。
その結果、全室で水はほぼ透明なものに変わっていました。
配管内の赤サビの腐食が止まり、赤サビを黒サビへと変化させることに成功した事で、硫酸成分を多く含む配管を腐食させやすい水質でもNMRパイプテクター®は高い防錆効果を発揮出来ることが実証されました。
戦後の混乱期に始まった小さなお汁粉屋から、全国に知れ渡る菓子メーカーにまで成長したコンフェクショナリーコトブキ。
その創業者が特別な想いを抱えて開始したホテル事業の第一歩であるレジェンドホテルサイゴンでは、ひどい赤水が給水管から発生してしまいましたが、その解決を任された大成建設株式会社が赤サビ対策として選んだのは赤錆防止装置NMRパイプテクター®でした。
NMRパイプテクター®は大規模な断水工事を必要とせず配管外部から設置可能で、導入コストも今回は高級ホテルということで配管更新工事の50分の1以下の費用ですみました。
水道(給水)、空調配管内の赤サビに悩んでいる建物オーナー様はぜひ一度日本システム企画株式会社までお問い合わせください。
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