更新:2022年8月22日
NMRパイプテクター®は国内にとどまらず海外でも導入実績が豊富ですが、
今回はイギリスの名門大学、ケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)の空調温水配管の赤錆防止に導入された事例をご紹介いたします。
ケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)のトッド棟では空調温水配管に耐用年数が20年といわれるSGP管が用いられていました。
ケンブリッジ大学ではその対応年数を超過し、空調温水配管は赤錆問題にひどく悩まされていたのでNMRパイプテクター®が赤錆防止を目的に導入されました。
「ケンブリッジ大学クライスツ・カレッジ」にも導入された
NMRパイプテクター
イメージ by Victoria Heath on Unsplash
クライスツ・カレッジはイギリスのケンブリッジ大学のカレッジの一つです。 クライスツ・カレッジの歴史を簡単に振り返っていきましょう。 クライスツ・カレッジの前身はゴッズ・ハウス(神の家)と呼ばれた神学校です。 ゴッズ・ハウスは1437年に文法学を修める学校として設立され、1446年にヘンリー六世よりロイヤルライセンスを受けました。 それからまもなくゴッズ・ハウス(神の家)はヘンリー六世の政策のもと移動を命じられ、1448年に現在のケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)がある場所に移りました。
移設から数年後、ヘンリー六世の義兄妹であるマーガレット候爵夫人は、司祭からの勧めもあり、ゴッズ・ハウス(神の家)の拡張に着手します。 そして1505年にゴッズ・ハウス(神の家)はケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)として再スタートを切りました。 それから1世紀がたち、17世紀に入ると生徒の数は急増します。 そのため大学の更なる拡張が必要となり、現在ではファースト・コートと呼ばれている設立当時のエリアの周辺にいくつか新しい建物が建設されました。 今日のお金の価値で約500万ポンド(約7億円)にも及ぶ大事業でした。 さらに20世紀後半には、サード・コート、ニュー・コートと呼ばれるエリアの拡充や、ノーベル賞を受賞した教授に因んで建てられたトッド棟の建設など、再び拡張が行われ現在に至ります。
もともとは伝統的なキリスト教信仰と自然科学の両立を目指し、それを教育方針としていたケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)でしたが、進化論の提唱者であり『種の起源』の著者であるチャールズ・ダーウィンによってその校風も大きく変わります。
ケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)は現在までに非常に優れた自然科学の研究者を多数排出しており、ノーベル化学賞の受賞者であるアレクサンダー・トッドやノーベル生理学・医学賞を受賞したマーティン・エヴァンズなどとも縁の深い大学です。 NMRパイプテクター®が導入された建物であるトッド棟はアレクサンダー・トッドに因んで建てられた建物でした。 ケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)で発生した赤錆問題とその解決のために導入されたNMRパイプテクター®について詳しく見ていきたいと思います。
ケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)のトッド棟では、空調温水配管内部の赤錆対策として2013年にNMRパイプテクター®が導入されました。 実はそれまでにも赤錆問題を解決するためにいくつかの対策が行われていました。 例えば2008年には配管に犠牲電極の設置が行われています。 犠牲電極は、配管の主な素材である鉄よりもイオン化傾向の大きい(≒サビやすい)金属である亜鉛などでできています。 その電極を配管内部で接続すると、鉄の代わりにそれらの金属が溶け出し鉄の酸化を防止するという仕組みです。 しかしながら、ケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)の空調温水配管では、犠牲電極の効果はほとんど見られず、赤錆の進行は止まりませんでした。 またその他には防錆剤の投与が年に一度行われていました。 しかし、防錆剤の使用前後で水中の鉄分値に変化はなく、それどころか防錆剤の人体への影響を懸念する声も挙がり、ケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)としては一刻も早く防錆剤に替わる赤錆対策を打つ必要があり、すでにBBCやウィンザー城、バッキンガム宮殿で配管内赤錆防止の実績があるNMRパイプテクター®が導入されました。
この様にNMRパイプテクター®は選ばれ、空調温水配管に設置されました。 NMRパイプテクター®は英国での導入実績も豊富で、2007年にはハロッズデパートにも導入され、赤錆問題を見事解決しています。 そういった確かな実績が買われ、ケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)での導入も決まりました。
NMRパイプテクター®とはどういった装置でしょうか。 詳しく見ていきたいと思います。 NMRパイプテクター®は配管の外側に設置するだけで配管内部の赤錆の発生を防止します。 基本的には配管一系統につき、ひとつ装置を設置すれば十分で、その防錆効果は一般的な給水管であれば500メートルほど持続します。 そのため設置に伴う工事は非常に小規模で断水の必要もありません。
NMRパイプテクター®は導入の際に、配管洗浄などを必要としません。何故なら既存の赤錆を水に不溶性の黒錆に変化して配管を強化するからです。 NMRパイプテクター®は特定の電磁波を発する事で配管内を流れる水にNMR(磁気共鳴)を引き起こします。 そしてNMR共鳴効果と水の運動エネルギーにより、雷放電のように剥離放電した水和電子(水分子の自由電子)の働きによって、すでに配管内部で発生してしまった赤錆を黒錆に還元します。 黒錆は非常に安定した強固な物質ですので、赤錆と違って水に溶け出すこともなく、黒錆の皮膜は鉄素地を赤錆から守ります。 加えて黒錆の体積は赤錆の1/10ほどですので、赤錆の堆積によって引き起こされる赤錆閉塞なども改善されます。 このように、NMRパイプテクター®は配管内部で既に発生・堆積してしまった赤錆を黒錆に変えることで配管の長期延命を実現しています。 NMRパイプテクター®が実際にどれほどの防錆効果をあげたのか、測定された数値をもとに見ていきたいと思います。
配管内の赤錆防止装置「NMRパイプテクター」
2013年、ケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)のトッド棟の空調温水配管にNMRパイプテクター®が設置されました。
設置前、配管を流れる循環水の赤錆の溶出による水中鉄分値は43.8mg/lと非常に高い値を示していました。
しかしNMRパイプテクター®設置からわずか3週間後の検査では、半分以下の18.0mg/lまで鉄分値は減少していました。
さらに設置から約1年後の追跡検査では、同じ温水中の鉄分値は0.5mg/lまで減少しており、全く水の交換をしていないにもかかわらず設置前のおよそ1/100まで鉄分値を減少させることに成功しました。
NMRパイプテクター®の設置によって、空調配管内循環水の赤錆溶出による鉄分値は0.5mg/lまで減少しましたが、これは赤錆の腐食が止まり黒錆化が進んだ事を示す値としては十分な数値です。
比較のために例を挙げますと日本冷凍空調工業会の定める水質基準値は鉄分1.0mg/lです。
トッド棟の0.5mg/lという結果はその半分であり、水質としては全く問題ないレベルまで改善した事が分かると思います。
もし赤錆防止対策をせずに配管を使い続けていたら、いずれ配管は赤錆閉塞でつまり、ひどい場合には配管の腐食によってネジ山の脱落が起こり漏水が発生してしまった事でした。
設置前 | 3週間後 | 18週間後 | 設置52週間 (1年1ヶ月)後 |
|
---|---|---|---|---|
鉄分値(㎎/ℓ) | 43.81 | 17.95 | 3.215 | 0.5195 |
配管内赤錆防止装置NMRパイプテクター®は以上のように、ケンブリッジ大学(クライスツ・カレッジ)の抱える空調温水配管の赤錆問題を見事解決する事が出来ました。
もしお住まいの建物で給水管や空調冷温水配管の赤錆問題に悩まされている方、効果的な防錆対策を打てずに困っている方などいらっしゃいましたら、お気軽に日本システム企画株式会社までお問い合わせくださいませ。
NMRパイプテクター®は、4,300棟(2022年3月現在)以上の建物で赤錆問題を解決してきた確かな実績があります。